WordPressテーマ「SWELL」は、その使いやすさと高機能性から人気を集めています。このテーマはプラグインの併用を前提に設計されており、適切なプラグインを選ぶことで、より快適で効果的なサイト運営が可能になります。以下に、SWELLで推奨されるプラグイン、推奨されないプラグイン、基本的に使わなくてもいいプラグイン、および使用時に注意が必要なプラグインを解説します。
WordPressのプラグインの使用は自己責任で!
プラグインは外部開発者によるコードを利用してWordPressサイトの機能を拡張するものです。この性質上、以下の点を十分に理解しておく必要があります。
- すべてのプラグインが完璧に動作する保証はない
プラグインの数は膨大で、開発者のレベルや対応状況もさまざまです。特定のテーマ(例えばSWELL)との完全な互換性を保証することは不可能です。 - 動作しない原因を特定するのは不可欠
- プラグインが動作しない場合、原因を調査することが必要です。これは、テーマ側の問題だけでなく、プラグイン自体の不具合や設定ミス、サーバー環境など、さまざまな要因が関係します。
- 誤解を避けるため、最初からテーマが原因だと決めつけるのは適切ではありません。
- テーマやプラグインの相性問題も発生する
- テーマとプラグインの間でコードが競合することもあります。
- 「どちらが悪い」ではなく、「相性の問題」であることが多いです。
- 有名なプラグインでも問題が起きる場合がある
- WordPressやPHPのバージョンアップに追従できない場合。
- アップデート時に発生する軽微なミスやバグ。
- これらはプラグイン側の問題であったり、相性問題であったりします。
【具体例】プラグイン利用時の注意点
1. プラグインが動作しない場合の基本対応
- プラグインを一時停止して、サイト全体に与える影響を確認する。
- テーマを一時的に切り替える(WordPressデフォルトテーマに)ことで、テーマ側の問題かどうかを切り分ける。
- デバッグモードをオンにして、エラーを確認する。
2. 自己責任を果たすための事前準備
- プラグイン導入前に評価や更新履歴を確認する。
- バックアップを必ず取得する。
- 信頼性の高いプラグイン(有名な開発者や高評価)を選ぶ。
3. 相性が悪い場合の選択肢
- 同様の機能を提供する代替プラグインを探す。
- 開発者に報告する(テーマのサポートまたはプラグインのフォーラムなど)。
【補足】自己責任の範囲とは
「自己責任」とは、以下を含む範囲を指します
- プラグイン導入に伴う不具合発生時に対処できる知識や手段を持つこと。
- 対処できない場合は、プロに依頼する準備があること。
- 事前に発生する可能性のあるリスクを把握し、十分な準備をしていること。
WordPressプラグインは便利ですが、適切に選び、使い方を理解し、問題が起きた場合の対処を行うことが求められます。SWELLのような高機能テーマは、必要最小限のプラグインで多くのことを実現できますので、まずテーマの機能を活用し、プラグインを追加する場合は慎重に対応しましょう。そして、プラグインが期待通りに動かない場合は、「自己責任」で原因を調査し、解決を目指すことが重要です。
SWELLではほぼ必須なプラグイン
SWELLテーマには、OGPタグやmetaタグを生成・出力する機能がありません。そのため、これらの設定を行うプラグインの導入が必須となります。
SWELLがこの仕様を採用している理由は、テーマの将来的な乗り換えに備えるためです。テーマはサイトのデザインやレイアウトを管理する役割に集中し、記事に関する重要なメタ情報はプラグインで管理することで、テーマを変更してもメタ情報を引き継げるようにしています。これにより、サイト運営の柔軟性を高め、長期的な安定性を確保することができます。
SEO SIMPLE PACK
必要最低限な機能だけが搭載されているシンプルなSEOプラグインです。
SWELLと同じ開発者が作っており、設定画面も全て日本語対応しています。
SEO SIMPLE PACK に XMLサイトマップを作成する機能はありません。
必要な方は後述する「XML Sitemap & Google News」を併用していただくとよいかと思います。
開発者がSWELLと同じプラグイン
先程紹介したSEO SIMPLE PACKの他にも、開発者がSWELLと同じ、もしくは開発に関わっているプラグインがいくつかあるので紹介しておきます。
Highlighting Code Block
シンタックスハイライト機能付きのコードブロックが使えるようになるプラグイン。
記事中でプログラミングに関するコードを紹介する人には超おすすめです。
Useful Blocks
ブロガーさん向けに、オシャレかつ便利なブロックを集めたプラグイン。
Pochipp
Amazon・楽天・Yahooから商品を検索し、アフィリエイトリンクを管理できるプラグイン。
ブロックエディターに最適化されており、Amazon APIなしでもAmazonから検索できる専用拡張機能もあります。
開発者はひろ氏で、僕はブロック周りの開発を手伝っています。
オススメなプラグイン
今後プラグイン側・WordPress側のバージョンアップデートによって不具合が発生する可能性はあります。
「ここで紹介しているから絶対安心」…とは思わないでください。
WP Multibyte Patch
日本語環境でのWordPress運用をスムーズにするために、「マルチバイト機能拡張プラグイン」があります。特に理由がない限り、導入しておくと安心ですが、近年では「必須」とまでは言えない状況になりつつあります。
基本的に、日本語に関する表示や動作に違和感がある場合にインストールを検討すれば十分です。通常は、WordPress本体の改善により、プラグインがなくても問題なく動作するケースが増えてきています。
必要性を感じたときにのみ導入する柔軟な姿勢で良いでしょう。
XML Sitemap & Google News
XMLサイトマップを生成するプラグインとして、SEO SIMPLE PACKとの併用が推奨されています。このプラグインは特に高度なカスタマイズや詳細設定が必要な場合に役立ちますが、WordPress 5.5以降ではコア機能としてXMLサイトマップ生成が標準で追加されており、基本的な利用であればコア機能でも十分対応可能です。
SWELLでは、すでにプラグインを導入しているユーザーとの重複を避けるため、デフォルトでコアのXMLサイトマップ機能が無効化されています。この機能を利用したい場合は、以下の手順で設定を変更してください:
- WordPress管理画面で「SWELL設定」を開く
- 「機能停止」タブを選択
- 「コアのサイトマップ機能を停止する」のチェックを外す
この設定変更により、WordPressのコア機能でXMLサイトマップを生成できるようになります。必要に応じてプラグインとの併用を検討し、サイト運営に最適な設定を選んでください。
WP Revisions Control
リビジョンデータは、WordPressで記事の編集履歴として保存される便利な機能ですが、放置しておくとデータが増え続け、データベースの肥大化を引き起こす原因になります。そのため、リビジョンデータを制限するプラグインの導入がおすすめです。
以前は「Revision Control」がよく使用されていましたが、更新が途絶えているため、現在では別のプラグインに移行するのが主流です。
このプラグインは設定が非常にシンプルで、プラグイン独自の設定ページはありません。「設定」>「投稿設定」にリビジョンに関する項目が追加される仕組みになっています。この点だけ把握しておけば、無駄なリビジョンデータを効果的に管理できます。
必要に応じてリビジョンの上限数を設定し、サイトのパフォーマンスを維持しましょう。
非推奨なプラグイン
Gutenberg
「Gutenberg」プラグインは、WordPressのブロックエディター(Gutenberg)の最新機能をテストするために提供されているツールであり、主にテーマやプラグインの開発者向けです。
通常のサイト運営では、このプラグインを使用する必要はありません。むしろ、不具合の原因となる可能性が高いため、導入は推奨されません。
すでにWordPress本体に標準のブロックエディターが含まれているため、通常の利用者は標準機能を活用するだけで十分です。安定した運用を重視する場合は、Gutenbergプラグインを避けるようにしましょう。
WooCommerce
WooCommerceなどのEC系のプラグインは基本的に対応(動作保証)していません。
WooCommerce等を絶対に使えないということはないですが、ご自身でカスタマイズなどがかなり必要です。
Elementor
ページビルダー系プラグインはSWELLには向いていません。
これらのプラグインを使うのであれば、機能の少ないシンプルなテーマをベースに使うことをおすすめします。
SWELLはブロックエディターを軸に開発しており、ブロックエディターが使われることを想定しています。
そのため、ブロックが不要になるページビルダー系を導入するのであれば、SWELLを使う意味がそもそもないです。
多機能なブロック拡張プラグイン
SWELLにはブロックエディターの拡張機能がすでに多く備わっています。
そこからさらにブロック機能を大幅に増やすようなブロック拡張プラグインを導入してしまうと、多くの機能が重複し無駄になり、読み込み速度も低下してしまいます。
干渉し合って不具合の元になる可能性もありますので、どうしても必要な場合以外は、おすすめしません。
高速化系プラグインで相性の悪いもの
SWELLはテーマ内に高速化機能をいくつか含んでいますので、できるだけそちらをご利用ください。
重複する機能を持つプラグインを入れることで逆にパフォーマンスが悪化するおそれもあります。Flying Scripts
JSを遅延読み込みするものですが、同様の機能がSWELLに含まれています。
また、このプラグインでは「iOSでリンクタップ時に一回目で正常に遷移しなくなるバグ」も発生する可能性が高いので、SWELL側の機能を使っていただく方がよいと思います。Autoptimize
過去の報告から、不具合が発生する可能性が高いプラグインです。
SWELLではもともと読み込みファイルについてはできる限りコードを圧縮したりまとめたりしていますし、SWELLが持つ高度で複雑な機能に合わせてすでにある程度の適切な軽量化を行っていますので、そもそもこのプラグインがしっかり動いたとしてもあまり恩恵もないと思います。Async JavasScript
こちらも、過去の報告から、不具合が発生する可能性が高いプラグインです。
SWELLの標準機能と被っているもの
以下のプラグインで追加される機能は、基本的にSWELLの標準機能として備わっているので、ほとんどの場合必要ないかと思います。目次生成プラグイン
「Table of Contents Plus」や「RTOC」など。画像遅延読み込みプラグイン
「Lazy Load」など。
また、Jetpack等の高機能プラグインの中に含まれる場合もありますので、その場合は該当機能をオフにしてください。ふきだしプラグイン
「Speech bubble」など。
SWELLでは基本不要なプラグイン
SWELLを使うなら、是非ブロックエディターを使ってみてください。
ブロックエディターを使う人にとって、「Classic Editor」は基本的に不要です。
標準ブロックの一つに「クラシックブロック」というものがありますので、一部だけにどうしてもクラシックエディターで記述したい場合があっても、ブロックエディターで対応可能です。
「クラシックエディターの方が使いやすい」と言う人もいますが、彼らのほとんどは以下に当てはまる人だと思います。
- ブロック機能の少ない(またはブロック非対応の)テーマを利用している
- 旧エディターを長年使い続けてきてすでに慣れすぎており、作業フローの乗り換えコストが高い
AddQuicktag
このプラグインはクラシックエディター時代にショートコードを呼び出すためによく使われていたものです。
その名残なのか、未だにおすすめプラグインとして紹介されていることが多いですが、SWELLでブロックエディターを使う場合はほぼ不要だと思います。
SWELLが搭載している主要なショートコードに関しては、ブロックエディターのツールバーから簡単に呼び出せるようになっています。
TinyMCE Advanced
こちらも、クラシックエディター時代によく使われていたものですが、SWELLでブロックエディターを使う場合は基本不要です。
このプラグインを導入すると、SWELLの機能を使えなくなるような設定にしてしまう可能性があります。
よほど使いたい特別な機能がある場合にのみ、SWELLの機能が犠牲になる可能性を理解した上でご利用ください。
意味もわからず「とりあえず」で導入するべきではないプラグイン
誰かがオススメしてるからといってどういうものか理解せず「とりあえず導入」はNGなプラグインを紹介しておきます。
ここで紹介するものが「SWELLで使ってはいけない」というわけではありません。
必要だと判断した場合のみ、設定をしっかり調整しながら導入してください。
Jetpack
Jetpackはかなり多機能なので、便利な反面、テーマや他のプラグインと機能が重複する可能性も高くなっています。
また、容量も膨大プラグインですので、表示速度低下の原因になる可能性もあります。
実際、「画像の遅延読み込み」など一部の機能がSWELLと重複するため、どちらもONにしていると不具合が発生します。
明確な目的もなく「とりあえず使う」のは、やめといた方がいいです。
キャッシュ系プラグイン
- 「WP Super Cache」
- 「W3 Total Cache」
などのキャッシュ系プラグインは、知識がない状態で扱うべきプラグインではないかなと思っています。
有名ブロガーさんがオススメしてるからといって「とりあえず導入」はNG。
自分でキャッシュさせてるのに「CSSが反映されない!」と慌てている人をよく見かけます。
その他、不具合の原因になるかもしれないプラグイン
プラグイン自体は有名で便利だけど、過去の報告事例から、SWELLでは不具合を引き起こすかもしれないプラグインを紹介しておきます。
もし以下のプラグインを使っていて何か不具合があった場合は、停止してみてください。
SiteGuard WP Plugin
日本語で設定できるので非常に人気のプラグインですが、PHP7.4にて不具合が発生してしまう報告がいくつか上がっています。
ログイン画面にアクセスできなくなってしまったり、重要なフックが動作せずにSWELLの定数が未定義になってしまったりするみたいなのですが、SiteGuard WP Plugin単体の不具合なのか、SWELLのなにかと相性が悪いのか、詳しくはまだ判明しておりません…。
EWWW Image Optimizer
これらのプラグインによって画像がアップロードできなくなる不具合が起きている場面に何度か遭遇しています。
常時有効化していることで問題になるので、必要な時だけONにして画像圧縮に使う、という使い方は問題なくできるかと思います。
他にも画像圧縮系プラグインはありますので、問題がなさそうなものをご利用ください。